金融リテラシーの低い状態で大きなお金を持っていることがなぜ危険なのかの具体的な話
公開日:
30代セミリタイアブログ
以前のセミリタイア記事の中で、金融リテラシーの大切さについて触れました。
この記事の3つ目ですね。
その際、こんなことを書きました。
金融リテラシーが低いのに数億・数千万のお金を持っている人は、念を習得していないのに200階まで来てしまっているということです。
後遺症の残る洗礼を受けますよ?
下手すりゃ一発アウトですよ?
これ、多分事例を見ないと良く分からないと思うので、今回は具体例で説明してみます。
ライブドア・ショック時にちょっと話題になったブログ
これは僕が株で2,000万円近くを失ったライブドア・ショック時のお話。
当時はTwitterが無かったはずなのでおそらく2chだと思うんですが、一つのブログが話題でした。
とある若手専業投資家さんのブログで、あの新興バブルのときに新興市場2階建て(主にライブドアとその関連株)で一気に資産を増やし、会社を退職して専業投資家になった方だったと記憶しています。
ライブドアショック直前、8,000万円程度を運用していたのかな。
株をやっていない人には「新興市場」「2階建て」が分からないと思うので簡単に解説すると。
新興市場とは当時のマザーズ・ヘラクレスなど上場してからの年数が比較的若い会社を扱っている市場のことを指し、一言で言えば値動きが荒い市場なのです。
ギャンブル相場。
特に当時は新興市場バブルで、1年で株価が数倍になるような企業が結構たくさんありました。
2階建てとは株式売買の信用取引を使い、現物株を担保にして信用で同一銘柄を購入することを指します。
信用取引とは一言で言えば借金をして株を購入するということですね。
借金と聞くと怖い感じかもですが、株式投資の世界では比較的一般的な行動です。
ただ、信用2階建ての危険性は当時から広く知れ渡っていましたけどね。
ライブドアショック+信用2階建て=死
このブログの主は新興2階建てというリスクのある取引で、おそらく1年で数百万から8,000万まで資産を伸ばしていたわけです。
当時はこんな感じの人が結構いました。
バブルだったので。
そして2006年1月17日、ライブドアショック発生。
ライブドア株は数日間値がつかない連続ストップ安となり、600円台から150円程度まで一気に値下がりしました。
この際、いわゆる現物取引のみの人は当然ながら借金に突入することはありません。
例えば6,000万円分のライブドア株を持っていたとすれば、1,500万円分まで値下がりしてしまったというだけの話です。
4,500万円の損失で、1,500万円残る。
ここで、信用取引の怖さ、そして信用2階建ての危うさが露呈します。
ブログの主は8,000万円程度のライブドア株を持ちつつ、それを担保に1億5,000万円ほどのライブドア株を信用で持っていたわけです。
(厳密にはライブドア関連株もあったような)
いわゆるフルレバレッジ状態。
この状態で連続ストップ安を食らうと軽く死ねます。
150円で値がつきようやく強制決済が済んだとき、ブログ主は8,000万円の資産を持っている状態から8,000万円の借金を背負った状態になったわけです。
現物株:8,000万→2,000万
信用:1億5,000万→5,000万弱
1億円の信用マイナス + 現物2,000万強制決済 = 8,000万のマイナス
みたいな感じ(大雑把な計算です)。
同額の貯金と借金、まるで意味が違う
冷静に考えてもらえば分かると思いますが、+8,000万と-8,000万の価値は数字上は0を挟んで同じ絶対値ですが、現実に照らし合わせると全く意味が違うことが分かります。
プラス8,000万というのはそれなりに資産があるけど人生を逃げ切れる金額ではなく、「ちょっとした小金持ち」という状態。
一方、マイナス8,000万というのはもう今後どれだけ必死に働いても利息の支払いだけで限界、いつまで経っても借金の元本が減らないレベルの金額です。
株の借金は基本的には自己破産できませんので、この金額は資産の差し押さえを受け、その後の収入からも自動的に天引きされ、正直もう人生がどうにもならないレベルの金額なのです。
ブログ主は最初は事の重大性が分からず、「また株で稼いで全部返す!俺ならできる!!」みたいに意気込んでいました。
しかし、これだけの借金に陥った以上、その株をやるための原資すら全て差し押さえされるわけです。
徐々に現実を理解していく日々を綴ったブログは、正直痛々しくて見ていられないレベルでした。
自分たちだって一歩間違えればこうなっていたわけで。
そしてある日更新は途絶えました。
彼がどうなったのか、開き直って今も生きているのか、何かしら特例が認められたのか、それとも自殺したのかは分かりません。
一つ笑えない笑い話として、彼はライブドア証券でこの取引をしていたわけです。
親会社の不祥事で連続ストップ安による莫大な借金を背負い、その債権を持っているのはライブドア証券なのですw
(もちろん債権を債権回収会社に譲渡したりする可能性はあるけど)
「お前のところのボスが悪いことをしたせいで僕は借金を背負ったのに、血も涙もなく取り立てるんですか!!」
くらいは言ったのかもしれません。
株だけの話ではない
今回の話で何が言いたいかというと、彼は8,000万円もの資産を持っていなければ8,000万の借金を背負うこともなかったわけです。
仮に10分の1の800万円だとしたら、借金の返済も頑張って働けば何とかなるでしょう。
持っている金額が大きくなると、マイナスに振れた場合の振れ幅も大きくなるわけですね。
これを読んだ人の中で、
「信用取引、というか株式取引の怖さはよく分かった。つまり、株をやらなければいいんでしょ?」
と思う人がいるかもしれませんが、それは違うんです。
資産規模が大きくなると、何をするにしても振れ幅は大きくなりがちなんですよ。
例えば、現在SEOアフィリは厳しい状態になっていますので、新たな事業を検討したり実際に取り組んだりしている人は意外といると思います。
その際、それなりにキャッシュフローの必要な事業を始めたとします。
この場合、仮にうまくいかなかったとして即座に損切りするという行動はなかなかできないわけですよ。
事業を回すために追加出資を繰り返し、ついにはキャッシュフローのために個人資金もつっこみ、借金にまで突入する。
こんな感じの落とし穴は意外とあちこちにあるんです。
他には、初期資金少なめで気軽に始めた事業が、事業規模が大きくなったタイミングで契約上の不都合があり賠償金が発生するとか。
その他にも、ある程度まとまったお金を持つと儲け話も色々と回ってきます。
「そういう甘い話には乗らなければいい」と考えるかもしれませんが、そもそも事業とは儲け話の一種なわけです。
何にも乗らなかった、挑戦しなかっとすれば、その瞬間に経営者ではなくなってしまうわけですね。
まとめ
サラリーマンをしている場合、住宅ローン以外ではなかなか数千万の借金をすることはないでしょう。
しかし、一度大きなお金を持ってしまうと、一つ判断を間違えるだけで逆側に大きく振れてしまう可能性も高まってしまうわけです。
これが最初に書いた
金融リテラシーが低いのに数億・数千万のお金を持っている人は、念を習得していないのに200階まで来てしまっている
ということです。
後遺症の残る洗礼を受けますよ?
下手すりゃ一発アウトですよ?
という言葉は、文字通りなんですよ。
と、散々脅すようなことを書いてきましたが、要するに確率の問題です。
そんな確率をできるだけ小さくするためには、基本的なリテラシーを高めていくしかないですね。
危険なポジションを持たないことと、やばいときには即損切りですね(上記の例は損切りできないので、信用2階建ての時点でアウトです)。
先人がたくさん失敗してくれているので、過去から学ぶという姿勢が重要だと思います。
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