ワタミ赤字の原因、理由は?ネット住民はまんまと踊らされている?
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3月決算企業の決算発表の時期ですね。
続々と色々なニュースが出ていて、なかなか面白いです。
本日はこちらのニュースについてちょっと考えてみましょう。
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ワタミ上場以来初の赤字転落 創業者の渡邉氏「株主に申し訳ない…」
居酒屋チェーンなどを展開するワタミが、1996年に株式を上場して以来、初めて赤字に転落する。
主力の居酒屋事業や、宅食サービスの不振が響いた。ワタミの創業者である渡邉美樹・参議院議員も、自身のフェイスブックに「『ワタミ 赤字』のニュースは創業者として重く受け止めています。
とくに株主様に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです」とのコメントを寄せている。[J-CASTニュース]
http://www.j-cast.com/2014/05/07204088.html
というわけで、昨今のブラック企業問題で代表的な企業として挙げられているうちの一つ、ワタミ株式会社が上場以来初の赤字となりました。
普段からネットの情報に触れている皆さんからすれば、当然だろうと感じるかもしれません。
これだけブラックのレッテルが貼られると、店舗の客足も遠のくだろうなーというのは予想されることです。
このことに対し、ネット上の反応としては以下のようなものが挙がっていました。
・あんだけ奴隷労働させといて赤字だってさ
・そりゃあれだけブラックブラック言われてたら客減るだろ
・あんな骨と皮だけの従業員見て飲みたくない
・すき家と一緒でネットの恐ろしさを甘く見たんじゃないか?
・世の中のために早く淘汰されてほしい
・赤字でも感動があればいいんだよ
こんな感じで、ブラック企業問題に腹立たしさを覚えている人たちの溜飲をちょっとだけ下げるような結果になっているようです。
でも、ちょっと待った
皆さんはこういう情報に触れてどう思いますか?
やっぱりな、と感じますか?
私は疑い深い性質なので、「これ、裏で戦略的なことがあるんじゃないの?」と思ってしまいます。
というわけで、まずは決算書から見てみましょう。
皆さんも↓からどうぞ。
http://www.watami.co.jp/ir/pdf/20140508.pdf
いきなり見つかる
パッと見ていきなり出てきました。
3ページに前期の連結業績の概要が出ています。
営業利益は普通に黒字じゃん!
pdfが見えない方のためにちょっと抜粋しておきましょう。
2013年度連結業績(億円)
売上 1,631
営業利益 29.4
経常利益 21.3
当期利益 ▲49.1
というわけで初っ端から出てきました。
「ワタミ、初の赤字」という情報がインパクトがあるのでひとり歩きしていますが、通常の経営上では黒字です。
みんな赤字赤字と喜んでいる場合じゃない。普通に利益出てるよ。
まだまだ会社に体力ありまくりだよ。
その証拠に普通に配当出てるよ。
筆頭株主が誰なのか調べてみてくれよ。
営業利益?経常利益?
私は会計のプロではないので大した説明はできませんが、会計上の初歩として「5つの利益」というのがあります。
興味のある方は以下を参照。
http://www.first-kessan.com/category/1329908.html
で、営業利益ってのは、簡単に言えば本業での売上から経費(人件費も含む)を引いた額のことですね。
だから、減益にはなっているけどまだまだ30億円も利益が出ているわけです。
さらに経常利益でも十分黒字。
経常利益は本業外の収益または損失を加えた額のことですね。
ということは、ワタミが前期赤字だったのは特別損失が出たからなんですね。
特別損失なんてのは会計上の問題だったりするので、ワタミは実質黒字企業のようなものと言っても過言ではないと思います。
これ、意図的に赤字なんじゃね?
私のようなねじ曲がった人間は上記のような状態を見ると、
「これ、わざと赤字にしてんじゃないの?ブラック企業問題の温度を下げるための経営的な戦略じゃないの?」
と思ってしまいます。
実際にネット上の反応を見ると、そら見たことかと溜飲が下がっているような気がしますしね。
特別損失の要因は何?
もう少しつっこんで見てみましょう。
特別損失の要因はなんなのか?
これは決算書に以下のように書かれています。
・減損損失等特別損失の増加
・繰延税金資産の取崩等
まず、減損損失等特別損失の増加ですが、これは不採算店を60店舗閉鎖したとあるのでこれに関わる会計上の損失がメインですよね?
もちろん赤字を出すために意図的に店舗を閉鎖するなんてことはないとは思いますが、会社側で操作できる数字ではあります。
経営戦略上のテコ入れと、会計上の膿出しが同時に出来るという感じですかねー。
次に、繰延税金資産の取崩等。
これが会計に親しんでいない人にはややこしい。
ちょっとウィキペディアの説明を読んでみてよ。
企業会計上の費用が税務上の将来減算一時差異(つまり、当期には税務上の損金と認められないが、将来時点では損金と認められる費用)として否認され、税務上の課税所得や納付税額が増加する場合に生ずる。
言い換えれば、将来の会計期間に帰属すべき税金費用(損金)を当期に前払いしたと考え、これを繰延処理することにより生じる資産である。[wikipediaより抜粋]
なんだよこれ。
さっぱり分かりませんがな。
問題は操作できるのかどうか?
私も100%理解できていない状態で説明してしまいますが、繰延税金資産を簡単に言えば、将来の黒字を見越して将来還付される予定の税金額を会計上の資産として計上していたけれど、利益が減って還付される税金額も減る、もしくは無くなってしまうので、会計上の資産を取り崩して損失計上しなければならない、という感じでしょうか。
まあよく分からん。
で、問題はこれが会計上どれくらい操作できるのかということです。
前期に膿出しをするために、意図的に全ての繰延税金資産を取り崩しできるのかということですね。
これは流石に全く分かりません。
教えてエラい人。
もしそれができれば、本業は減益しているけれども黒字であり、経営戦略上のテコ入れ、会計上の膿出しをして経営を健全化しつつ、批判している人たちの矛先をかわすために赤字を出しているとも考えられるわけです。
結果論なのかもしれないし、高度な経営戦略なのかもしれません。
結局、我々は敏腕経営者ワタナベミキの手のひらでコロコロ転がされているだけなのかもしれません。
ネット上でワーワー騒いでみても、実際には大してなんの影響力もないのかもしれませんね。
経営のリスクヘッジがうまくいっているのでは?
決算書をもう少し見ていきますと、確かに外食事業は赤字なんですね。
ただ、外食事業はブラック企業問題の風評被害?とは関係なく、他社も結構苦労しているんですよね。
特に居酒屋業態は厳しいです。
価格競争が激しいですからねー。
なので、単純なる外部環境による影響が大きそうですね。
で、そういう状況を見越して以前から介護事業をやっており、さらに宅食事業を伸ばしているんですよ。
驚いたのが宅食事業の売上と利益。
いつの間にか外食の売上高に迫ってきており、利益率も外食よりもかなりいいんですよね。
先見性のある経営ができていると言える数字です。
こちらは中高年向けビジネスなので、ネット上の評判の影響も受けにくそうですし。
まとめ
私はワタミを応援するつもりも批判するつもりもありませんが、ワタミはネット上のブラック企業問題ごときで潰れるような企業では無さそうです。
赤字のニュースを聞いて、「ざまあwww」なんて思っていた人は、実は踊らされているかもしれないことを疑ったほうがいいかもしれませんねー。
今期や来期、しれっと過去最高利益を出していたりするかもしれません。
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