ミスチルのHEROを歌うとお父さんは感情移入して泣いてしまう
HEROはお父さんの気持ち代弁ソング?
私はカラオケ世代、ミスチル世代ですので、カラオケに行くと今でもミスチルを歌ったりします。
数多くあるミスチルの曲の中で、「HERO」という曲をご存知でしょうか?
シングル曲なのでミスチルを知っている人なら大体知っていると思います。
で、この曲をたまにカラオケで歌うんですが、今の私は最後まで普通に歌いきれません。
毎回、感極まってうまく歌えないのです。
多分、小さな子ども(特に息子)を持つお父さんなら共感いただけるでしょう。
今回はお父さん殺しの曲「HERO」についてちょっと掘り下げてみます。
文章の受け取り方は様々でOK
まず最初に、私はたまに歌詞分析をしたりしますが、作詞家の意図や背景を探ったりすることは余りしません。
私も文章を書くタイプだから分かりますが、文章なんて様々な読み手が様々な価値として自由に受け取ればいいんです。
ただ一つの正解が用意されているわけではないし、筆者もあえて複数通りに読み取れるように書いたりすることもありますよね。
ですので、この曲が「誰に向かって書かれているのか」などの詮索や類推はあまり意味が無いと思います。
独身時代は泣けなかった
私としては、結婚前はこの曲のイメージとして「彼女」がいました。
「彼女」にとってたった一人のHEROであればいい、という解釈ですね。
人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる
君の側に僕は居たい
この部分があるからこそ、彼女というイメージができるんですよね。
最期のときも笑って一緒に迎えたいという。
この解釈のときは別に泣けなかったんです。
特に深掘りせずに普通に歌ってました。
なんか勝手にイメージが息子に代わった!
その後結婚して息子が生まれ、成長し、3歳くらいを迎えたとき、改めて歌ったらイメージが勝手に息子に置き換わりましたよ。
そして、そのイメージがあるともう全然歌えないんです。
泣いてしまうんですよね。
例えば誰か一人の命と
引き換えに世界を救えるとして
僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ愛すべきたくさんの人たちが
僕を臆病者に変えてしまったんだ
私はもともと生い立ちや家庭環境の影響もあり、自分の死を軽んじているところがありました。
別に年老いて死んでも、今死んでも同じだよっていう。
死に対する怖さはあまり無かったですし、それ以上にダラダラと続くような生に対する恐怖感のほうが強かったんですよね。
若いころの私は、「ダラダラとサラリーマンをやるくらいなら、死を賭けて起業したほうがいい!」という暑苦しいことを言うタイプでしたw
というか、この前大学の連れと飲んだ時にそんなこと言ってたよって言われて恥ずかしくなりましたよ。
そんな私ですので、若いころは歌詞の通り、自分の命と引き換えに世界を救えるなら名乗り出るタイプの人間でした。
目立ちたがり屋でしたしね。
でも、今はもう無理です。
歳を重ねて人間が丸くなったというのもあるんですが、それ以上にもう歌詞の通りなんですよ。
家族ができ、子供ができると多くの人は実感すると思いますが、もう「死ねない」んですね。
死ねない。死ぬわけにはいかない。
意地でも何とかしなきゃいけない。
これが生物に与えられた使命というか、人間としての尊厳というか。
臆病になるのは当然なんですよね。
全能感のあった若かりし頃
小さい頃に身振り手振りを
真似てみせた
憧れになろうだなんて
大それた気持ちはない
でもヒーローになりたい
ただ一人 君にとっての
つまずいたり 転んだりするようなら
そっと手を差し伸べるよ
若いころというのは、ある種の全能感があります。
特に自信のある人間には。
私も自信過剰タイプの人間だったので、もともとは大それた気持ちがありました。
日本をコントロールしたい!くらいの野望はありましたよw
しかし、歳をとってくるとそういう大それた気持ちも薄らいでいき、「自分の見える範囲の人が幸せであればいい。幸せにできるように努力したい」と思えるようになります。
世の多くのお父さんが抱えている理想はこれだと思います。
嫌な会社に毎日遅刻せずに向かえるのもこのエネルギーが根源でしょう。
もう、みんなから憧れられる必要なんてない。というか無理。
ただ唯一、自分の子供(特に息子のほうがイメージしやすいような)にとってのHEROでありたい。
つまづいたり転んだりというのは物理的なものだけを表しているわけではないと思いますが、子を持つ親なら物理的なイメージが勝手に湧いてしまいます。
転んで泣いてる自分の息子が勝手に浮かびます。
子供に何かあったとき、HEROとして助けたいんですよね。
でも、死ぬわけにはいかない。その後もあるので。
君のそばに居れるのか?
人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり
渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる
君の側に僕は居たい
息子をイメージすると、ここだけ共感しにくい。
お前、どんだけ生きるつもりやねん!ってなる。
というか、息子病気?自分の息子を看取るなんて悲しすぎるじゃないか!となるね。
ただの日常に幸福感を感じる
残酷に過ぎる時間の中で
きっと十分に僕も大人になったんだ
悲しくはない 切なさもない
ただこうして繰り返されてきたことが
そうこうして繰り返していくことが
嬉しい 愛しい
そうなんですよ。時間はどんどん過ぎていく。
自分の自己イメージとしては、自分の意識なんて20代後半くらいで止まってるイメージ。
あの頃と何も変わっていない、成長していない。
でも、実際には自分も家族ができて大人になっている。
ダラダラとした日々に嫌悪感を感じてたはずの自分も、ダラダラとした家族との日常に充実感を感じるようになった。
若いころは価値や目的が必要だったけど、今はもうそれが必要なくなった。
人間、変わるもんですね。
お父さんの哀愁
ずっとヒーローでありたい
ただ一人 君にとっての
ちっとも謎めいてないし
今更もう秘密はない
でもヒーローになりたい
ただ一人 君にとっての
つまずいたり 転んだりするようなら
そっと手を差し伸べるよ
ちっとも謎めいてない世の普通のお父さん。
とてもHEROとは言えないルックスのお父さん。
でも、やっぱりただ一人、自分の子供にとってはHEROでありたいんですよね。
困難があったら颯爽と現れて助けたい。
何ともお父さんの哀愁が込められている歌詞だと思いますね。
ただ、これを書いている桜井さんは特別な存在であり、HEROなんですけどねw
まとめ
ミスチルの歌詞は、良くも悪くも面白い歌詞が多いです。
改めて読んでみると新たな発見があるかもしれませんよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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